性輪廻 死にたい女/叛女 夢幻地獄

性輪廻 死にたい女(1971/若松孝二)叛女 夢幻地獄(1970/足立正生シネマヴェーラ渋谷7/5
『性輪廻』は三島由紀夫自決事件の直後に製作されているが、盾の会シンパの男女を中心に死に取り憑かれた2組のカップルの愛憎を妙に丹念な演出でメロドラマ的に積み上げて置きながら、最後はブニュエル風な脱臼ぶりで締められるのに唖然。『叛女』は財産相続を巡る無計画な殺人がスーパーマーケットの女店員の自我の肥大と共に語られるが、観ている内に方向感覚が失調しそうなシュールさがある。例えば女店員は愛人である店主(大和屋竺)の妻を彼の目の前で殺すのだが、次のシーンでは着物を着付け髪をアップに結い完全に女将然として店番に座り、周囲もそれを受け入れているのだ。足立映画は幻想と現実が特に切替も無く混ざり合ったまま語りが進む。ちなみにタイトルクレジットでは「大和屋笠」「足立正男」と表記されている。