避妊革命/略称 連続射殺魔/性犯罪/女学生ゲリラ/性遊戯/噴出祈願 十五代の売春婦

避妊革命(1966)/略称・連続射殺魔(1975/足立正生シネマヴェーラ渋谷7/2
『避妊革命』はこの特集で観た内で最も不出来な1本で欠伸が止まらなかった。コンドーム中心の避妊習慣が健康な性生活を阻害し人々の心身に悪影響を及ぼす、という研究をあれこれ展開した挙句完成した避妊具の形態がボカされているのでは腰砕けだ。敢えて見せない、という語り方は当然アリだろうがそこに至るまで様々な避妊具を小道具として全く生かしていないので、やっとスポットを浴びたそれが何だか解らない代物では萎えてしまう。避妊具をヤミで売ってしまう山谷初男のシーンがモタモタしてしまうのもそのせい。
『連続射殺魔』 19才で逮捕されるまで放浪を続けた永山則夫の、その足跡を彼の折々の生活圏から切り取った風景によって辿って行く試みだが、件の事件に付いて私は不勉強なので、作り手の意図に沿って観て行くと20分で集中力が途切れてどの土地も区別が付かなくなる。だが新宿と渋谷になると建物が変わっても空間の見通しにどこか覚えが感じられ、本能的な何かが記憶をまさぐる事になる。そう、それは本能的な物だと思う。
全体の流れから外れているようなシーンが何ヶ所かあるが、自転車で集団登校する男女の足を捉えたショットは、学校にまともに通えなかった永山が同世代に感じたであろう羨望を足立が想定して組み込んだのだろうか。

女学生ゲリラ(1968/足立正生)性犯罪(1967/若松孝二)同7/3
性遊戯(1968)噴出祈願 15代の売春婦(1971/足立正生)同7/4
3日続けて足立正生。当然面白いと思って通っている訳だが、どう書けば良いのか解らない。
音楽の事だけ。『性犯罪』の山下洋輔クァルテットは彼に対する一般的イメージから離れた物で、フリーではない、しかし個性的なシネ・ジャズをやっている。『噴出祈願』は日本のアシッドフォークシンガーである南正人だが歌は無く、ギターのミニマルフレーズが性意識の総括にもがき苦しむ高校生たちにセンチメンタルな彩りを添える。
もう1つ。妊娠が題材として頻出する所から思った。ピンク映画全般に言える事だが、避妊行為がタブーの様になっているのは何故か?避妊行為の芝居が、例えば煙草を吸うそれの様に洗練されて行かないのは何故だろう?