夫婦善哉

夫婦善哉(1955/豊田四郎神保町シアター4/7
森繁演じる化粧品問屋の放蕩息子が、実家の敷居を跨げなかったり、駆け落ちした淡島千景の待つ家に朝帰りしたり、室内/室外の境界で芝居を作って行く所が目立ち、そのバリエーションの多彩さに感心する。
やはり淡島の実家の天麩羅屋の軒先で彼女を迎える父親役の田村楽太の芝居の、沈み込むようなペーソスが深く印象に残る。私は落語家か演芸系の人かなと思ったのだが、舞台中心に活躍した喜劇役者で、映画にはあまり出ていないらしい。