暗殺指令シャター/オードリー・ローズ

shiraishit2010-07-19

暗殺指令シャター(1974/マイケル・カレラス)米DVD
内乱の絶えないアフリカ某国の独裁者を暗殺する事に成功した殺し屋が香港に渡りクライアントから報酬をうけとろうとするが、そんな依頼をした覚えは無い、と追い返される。それどころか狙撃されるわホテルの部屋を爆破されるわ英国諜報部のピーター・カッシングに痛め付けられるわ散々な目に。しかし偶然知り合ったカンフー・マスターのティ・ロン(『酔拳2』のお父さんだ)と組み、改めて取り立てに立ち上がる。
書いていて力が入らないんだが、国際的謀略をチョロチョロ匂わせつつも画面に映っているのは給金を払って貰えない冴えないおっさんと妙に金を出し渋るケチな黒幕で、そんな侘しい物語に若々しいティ・ロンのカンフー・アクションが清々しい風を吹き入れていて、どうにかアクション映画としての体裁を保っている。
ハマー・フィルムショウ・ブラザースの合作。私は勿論裏モンテ・ヘルマン映画(スケジュールを守れないので途中解雇されている)を期待して観たわけだが、気持ち良いカンフーの殺陣の最中に銃が介入する際の何とも言えない危うさがヘルマンも参加した『キラー・エリート』を思わせますねえ、ぐらいのつまらない事しか言えない。

オードリー・ローズ(1977/ロバート・ワイズ)米盤DVD
とある夫婦の11歳になる娘の周辺に、不審な中年男(アンソニー・ホプキンス)が出没し始める。程無く娘は夜になると謎の発作に見舞われ狂乱する。成す術も無い夫婦に、男は「彼女は事故死した私の娘の生まれ変わりだ」と告げる。暴れ回る彼女に、男が「オードリー・ローズ!」と自分の娘の名を呼び掛けると憑物が落ちたかのように大人しくなる。
ややあって男は誘拐罪で告訴されるのだが、さながら現世と前世での親権裁判の体を成し始める。そしてクライマックスは陪審員達の見守る中行われる彼女の深層心理を探る公開実験。
導入部の不審者としてのホプキンスの佇まいの印象の残し方等、構図と編集の妙味を感じる部分数々あり。